琥珀色のパーティー わ~い~んだ
5月26日土曜日晴れ。ある翻訳プロジェクトの打ち上げが渋谷区の神宮前で行われた。自分はそれには参加していなかったが、プロジェクトをまとめた講師の先生から「翻訳者同士も横のつながりを」ということで参加させてもらった。当初は10数人の予定が20人を大幅に上回る盛況。
プロジェクトは参加者の年齢も専門分野も様々な10数人ほどだったが、中には1年前から半年間、総合翻訳基礎科で一緒に学び、同時に本科へ“進学”した2人も含まれていて、半年ぶりの再会となった。彼女らはともにフィクションを専攻している。
打ち上げでは、その報酬を渡すセレモニー?も行われ、なかには初めて翻訳でお金をもらったと喜びの感想を述べた人もいた。うん、よくわかる。ボクも初めてフリーになって報酬を得たとき、それは銀行振り込みだったけど、のちに出版社から届いた明細書をみて、おっさんながらうれしかった。会社ではたぶん本1冊翻訳していただける報酬分ぐらいの給料を毎月もらっていたのだが、明細の封を切らずに机にしまったままにしていたこともよくあった。それとは充実感が違う。
パーティー会場は「ニューロカフェ東京」という外苑前から徒歩7分、明治公園そばのレンタルスペース。先生が吉祥寺で利用している所の姉妹店で、キッチンと音響施設があり、飲食パーティーや試写会、各種教室などが行われているという。ちょっと隠れ家風の場所で、実際、来るのに迷った人もいたぐらいだ。とてもいい雰囲気。昔のイタリアをテーマに、それにちなんだ料理をつくり、ワインを持ちこむ。少しは役に立つかと早めに行ったが、料理の達人だらけで、買い出しぐらいしか活躍できなかった。いま流行りのホームパーティー風で、いつも料亭ばかりの身には、とても新鮮だった。ワインはそれぞれが持ち寄ったので、いろいろな味が楽しめた。
こういう横のつながりはやはり大事。昨年度後期はほとんど引きこもり状態だったが、継続して学校に通っていれば声をかけてもらえたかもしれず、やはり人見知りでも外にでないといけないなと改めて思った。けど、翻訳者の人間関係をたどっていけば共通の人物がけっこう出てきて、意外と狭い世界だなと感じる反面、新たに知りあう人は記者時代と同様に多士済々でおもしろい。自分の場合はいろいろな学校に通ってきたので、様々な受講生とも知り合いになった。これからは学生同士としてだけではなく、仕事を通しての知り合いを増やしていければと思う次第。
ところで、頭の悪い地方自治体がまたやってくれました。奈良市観光協会。奈良は記者としての初任地で、観光協会もおそらく何度も取材したはずだが、奈良もギリシャと同じで観光がメーン。だから余計に気を使わなければならないはずなのだが・・・
ネットで見る限り読売の特ダネのようだ。話は単純。奈良市観光協会の外国語版のHPが誤訳だらけだった。外部からの指摘を受けてHPを一時閉鎖し、更新前のHPを公開しているという。読売の記事を借用すると、東大寺の「大仏」を姓と認識して「Mr.Osaragi(オサラギ)」、「仏(ほとけ)の慈悲」は「French mercy」、また「都が遷された」は「遷」の字が翻訳できず、英文にそのまま交じっていたという。そのほかの誤訳も「数えきれないほど」あったらしい。
誤訳の理由は簡単。記事には書いてなかったけど、観光協会の誰一人として訳文をチェックしていなかったこと。英文に漢字が混じっていれば、中学生でもおかしいと思うよね。そして、一番の原因は、インターネットの自動翻訳システムを使ったことだ。
自動翻訳システムなんて、意味を考えずに逐語的、機械的に訳したらどんなおもしろい文章、日本語を出してくれるかの見本みたいなもん。意味不明の日本語を書かせたら日本一っていうシステムだ。もちろん、翻訳者も機械翻訳を使うことはあるけど、協会が使っていたソフトはそれらとは違うものだろう。機械翻訳を使う時の役割も異なる。使えるのはマニュアルなど定型化した文章だけだし、訳語を統一化する目的などのために使うのであって、文章をそのまま載せるアホはいない。ごく限られた人が限られた分野で限られた役割でしか使えないのが、自動翻訳の現在の状況だと思う。
似たような事例は何度もあった。最近では東北地方で、やはり観光関連で同じようなミスがあった。出版翻訳者で機械翻訳を使っている人はいないが、それを一部使って本を出してしまった天下の恥さらしも記憶に新しいところだ。
そんなこともわかっているのに、じゃあなぜ自動翻訳システムを使うのか。これも簡単な話。経費削減だ。8か国語をHPに載せたらしいが、これまでは1言語150万円で外部委託していたものを、自動翻訳にして全部で35万円にしたという。担当者は最初、褒められたんだろう。すごい経費削減、役人の鏡だなんてね。しかし、これこそ安かろう悪かろうの典型。だいたい少し考えればわかるだろうに。自動翻訳で事足りるのなら、世の中に翻訳者なんていらない。自分がやっているから言うわけではないが、毎日、髪をかきむしりながら勉強しているのは、英文を正しく理解し、正しくわかりやすい日本語で表現するため。機械で十分なら、わざわざそんな面倒なことはしないよ。機械は進歩してきているし、チェスや将棋でもコンピュータが人間に勝てる時代だから、将来はわからない。けど翻訳に関しては、何十年たっても無理な気がする。別に自分の仕事を守りたいという気はまったくないけど。
結局、いいものを作ろう、あるいは最低限レベルのものを作るにしても、それなりの時間と金がかかる。報酬を得るのは、それを可能にするために学んだり努力したりした対価としてだ。だから、その翻訳で、最近いただく仕事案内に、やたらボランティア案件があるのが気に入らない。震災復興、貧しい国や人への援助、とかならわかる。だが、例えばNPOだから事業とは関係なくても翻訳はボランティアで、あるいは単に経費を抑えたいから普通の営利企業なのに翻訳ボランティアでやりませんか、というのは理解に苦しむ。そりゃ、金儲けで翻訳やっている人はいないけど。体を鍛えることになるから、道路工事やトンネル堀りをボランティアでやりませんかいって、やる人いるのかね。オレがもし、毎日飯作ってくれて、部屋を掃除してくれて、背中流してくれる女性ボランティアを希望しますって募集して、来てくれる人なんか絶対にいないだろう。
ヤクルトの本拠地、明治神宮野球場→



































